Vol.19 ~トランプ氏が勝利したアメリカで、多くの人が「安全ピン」を身につけている理由~

参考記事: http://www.huffingtonpost.jp/…/reason-you-might-start-seein…

 

あれから、1週間が過ぎました。実際に任期が始まる2017年1月20日までマスコミのネタは尽きることはないでしょう。

上半期講演会では、イギリスのEU離脱を問う国民投票の結果を予想しました。下半期講演会では、アメリカ大統領選の結果を予想しました。そして、両方とも、私の予想は見事外れました( ´△`)。

私の予想は、それぞれの国民の気持ちや立場を考えてというより、それぞれの国民の世界に対する「性善説」に重きを置いての予想でした。こうあって欲しいという願望を含めて。。。

しかし、英国国民はヨーロッパの協調性より今ある自国の安定を選びました。アメリカ国民はグローバル化より今ある自国の満足を選びました。勿論、両選挙とも死票が多いので、この結果が両全国民の意思ではありませんが、「最大多数の最大幸福」が正当とされる選挙の結果において、国民は「決定」の中でベストな生き方を探らねばいけないのが民主主義なのでしょう。

1980年代末、冷戦終結の流れの中で、二極化していた世界は統一の流れを見せ、1991年のソ連崩壊でアメリカ一極のグローバル化が進められました。しかし、世界の詳細を読み間違えたアメリカは、「単独行動主義」という短絡的な軍事介入を続け、イスラーム世界の反感を買いました。さらに、アメリカを中心に指導された急速なグローバル化は、変化についていけない人々の不満を買いました。そのことは、四半世紀たった今、経済的にも、治安的にも、世界に不安を広げています。

離脱を選んだ過半数のイギリス国民や、トランプ氏を選んだアメリカ国民は、こうしたグローバル化で痛みを感じ、今のままではイヤなので変えて欲しいという感情に満ちていたはずです。
しかし、この選択で遠い未来がどう変わるかなどを理解できているはずもなく、近い将来の目先の満足に走った結果であったと言えます。

この二大国家の選択は、間違いなく、世界のグローバリズムを崩すスタートになるでしょう。まずは、それぞれの国内を分裂させ、火種を世界へ飛び散らせます。
世界史の流れから、このままでは、2030~40年頃には大きな対立になってしまい、世界に大きな溝を生み出すことになってしまうでしょう

きっと、平和主義者の言葉を借りれば、グローバル化は「善」で「セクシュナリズム(ナシュナリズム)」は「悪」になるでしょうね?

しかし、私の答えは否です。

対立の根源は、考え方の違いにあるのではなく、異なる考え方を受け入れられない許容性にあるということを忘れてはいけません。

今、世界の人々か選択せねばいけないことは、「主張する民主主義」か「民主主義で決まった結果を受け入れる」かの二択です。まずは、英米の国民がこの先、どちらを選択していくかから始まります。その中で、一方が傲らず、一方も許せば、世界の不安定は解消されるのです。
しかし、少なくとも、世界の流れは「セクシュナリズム(ナシュナリズム)」にあることを、今、無関係な国民も認識するべきでしょう。対岸の火事では決してないからです。

「人間のエゴ」は、「自分の利を重視する」ことにあるのではなく、「お前、自分さえ良ければいいと思っているんだろっ」という「デリカシーの欠如」に現れます。

すべての選択にすべての人間が是となるモノはありません。相手の主張をまず聞き、
できる限り、干渉・対立を避けられる道を探ることから始める。もし、協調できるところがなければ、距離を置いて、期を待ち、生きるしか道はありません。それを「妥協」と言うならば、「平和」なんて言葉を口にするべきではないのです。

「争い」の始まりが、「短気な決断」と「強い主張」にあったことを、過去の歴史から学ばねばいけない時が来ています。

 

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Vol.17 ~朝鮮戦争は防げるか?中途半端な懐柔策の顛末~

Vol.17

【参考記事】http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/…/09/post-5811.php

1991年はある意味で世界史が大きく揺れた年でした。

 私が代ゼミ講師1年目のこの年は偶然にも年男(24歳になる年)の未年。湾岸戦争があり、ゴルバチョフが軟禁され、ソ連邦が解体しました。そして、朝鮮では、民主化宣言をした盧泰愚率いる韓国と年老いた金日成率いる北朝鮮が接近し、南北朝鮮の国連同時加盟を果たした年でもありました。

まもなく、94年に金日成か亡くなり、今一つ人気のない金正日が後を継いだことで両国間の関係悪化が不安しされたのですが、97年から韓国大統領となった金大中の掲げた太陽政策が一時的に効を奏し、2000年6月に初の南北首脳会談へと漕ぎ着けました。

私が平壌を訪れたのはこの前年1999年でした。まあ~限られた地域ではありましたが、平壌・開城の街の様子、板門店の北側、地下鉄、チュチェ思想塔を回り、写真を取りまくり、最終日にはガイドと飲んでアメリカの悪口を沢山聞かされたのを覚えています(笑)。

2001年には日本も時の首相小泉純一郎が平壌宣言を発表、数名の拉致被害者を連れ帰ることに成功、国際的には六カ国協議が開催され、北朝鮮を含めた周辺国による今後の対応策が模索し始められたのです。核問題や拉致問題など。北朝鮮は話が不利に展開されると、すぐに協議を中止しミサイル実験、所謂「テポドン外交」で揺さぶるお子ちゃま外交をなだめながら一歩一歩。

しかし、対テロ戦争・リーマンショックへの対応に追われ、日本やコーカサスの領土問題で足並みが揃わず、東日本大震災とチャイナ経済ショックもあり、六カ国協議は忘れ去られた頃に、北朝鮮に3代目が登場した訳です。

正直今の韓国はアメリカの軍事力など当てにしていません。勿論、最終的にはいないと困りますが、グアムから米軍爆撃機が到着するのに2時間。戦火切られて2時間あればソウルは陥落します。だからこそ、今回北朝鮮の核準備への厳しい報復を示唆したのです。1950年6月25日の戦争勃発(ユギオ事件)の再現はあり得ます。が、今の韓国の強気の姿勢は少なからず「開戦抑止」にはなっていることは確かです。

さあ、次の一手は何なのか?「中途半端な宥和」で六カ国協議へ引きずり出すのか、「強い制裁」でビビらせ続けるのか、11月の米大統領選次第で結果は出るでしょう。ただ1つ、完全に逃げ道を無くし、自爆されたら、間違いなく、東アジアはさようなら。。。

私には映画さながらの解決策が1つあります(笑)。もしかしたら、もう~開始されているかもしれませんね。

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/…/09/post-5811.php

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Vol.14  ~シリアの子供たちとポケモン~

Vol.14

【参考記事】http://tabi-labo.com/272516/pkemonsyriasaveme/

1週間が経ち、少しだけだが、熱は覚めたようだ。任天堂の株価も平常心を取り戻し、下降を続け、それなりの価格に戻りつつある。

ポケモンGOに対して決して否定的なわけではない。家族の絆が深まったとか、近所とのコミュニケーションが増えたとか。ただ、自分や自分の周辺に熱を帯びた人間がいないだけのこと。正直、株式会社ポケモン、してやったりとの感想。
そんな時に次のような記事をたまたま見つけた。最初は画像しか見ていなかったのだが、泣いているポケモンが気になり、文章に目を落とした。

勿論、ポケモンGOを楽しみながら、シリアの子供たちのことも考えろっと言っている訳ではない。ただ、何となく淋しくなった。夜公園に集まりスマホを同じ方向に向け連打している様子を見て、やはり、世界は幸せな人が多いんだなあ~と。

沢山の人が無くなる大事件が起きると世界はすぐに報道し、悲劇だとコメントする。しかし、小さな戦闘で3人の子供が死んでも決して報道はされない。

助けて欲しい、シリアの子供たちの切実な願い。これは、24時間365日例え難民になったとしても変わらぬ願いでだろう。

勿論、ポケモンGOのアプリで、シリアの子供たちの命を救い出すことなど、現実的にはできない。しかし、ポケモンの表情がシリアの子供たちの心を表しているのならば、彼らの存在を忘れないでいられる。こんな些細なこと、幸せな人間たちの義務なのかもしれない。

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Vol.13  ~トルコ軍部クーデタは何を語る~

Vol.13

【参考サイト】http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM16HA5_W6A710C1000000/

 

世界の歯車が狂い出している。

南仏ニースで起きたトラックテロは、単独犯ではあったが、結局失業を繰り返した人間の闇がISに傾斜していた。このことは、先日バングラデシュで起きたテロ事件の犯人グループもしかり。彼らは裕福な家で育ち学歴があったにもかかわらず、就職できず社会に取り残された人間の闇があった。そして、過激思想に傾斜した。

また、今日イスラエルのテルアビブでパレスティナ人の男が米観光客を含む20数名を無差別に殺害する事件起きた。詳しくは分かってはいないが、排他的な過激思想の影響を受け、衝動的に起こした行動のようだ。
「心の闇=不満ならばやればいい」
15日深夜から16日未明にかけて、トルコで軍部の一部がクーデタを起こした。現在はほぼ鎮圧されたが、一般人50名ほどを含め300名近くが殺害された。未だ軍上層部メンバーが拉致され行方不明であり、軍艦一艘が乗っ取られたままらしいが、イスタンブルなどの主要都市は落ち着きを取り戻しているようだ。
軍部クーデタ…
日本人にとって、全く知らない言葉ではない。

隣国韓国では1961年に現大統領の父朴正熙が軍部クーデタで政権を握った。
日本人が良く訪れるタイでは定期的と言って良いほど軍部クーデタが良く起こる。
ゆきおが個人的に繋がりのあるエジプトではもともと軍部が政権を掌握しているので民主化運動が軍部に潰されるパターンになる。

少し古い話、1936年に起きたニ・二六事件。結局失敗に終わったが、一部の青年将校のクーデタで、首相岡田啓介を除く、沢山の閣僚が暗殺された。
さて、今回の主人公はトルコ軍。これは、今紹介した国々の軍とは少し様子が違う。

もともと、トルコ共和国を建国したケマル=アタテュルクは第一次世界大戦でイギリス艦隊を撃破した英雄的な軍人であった。また、彼は政教分離の世俗主義・民族主義を唱えたため、近代化を望む国民の多くの支持を得ることができた。

さらに、現在のトルコ軍はNATOで2番目の兵力であり、その基盤に男子国民皆兵制がある。よって、軍隊自体がかなり国民に近く、その意思を反映していることが多い。

このことは、過去に1960年と80年、軍部クーデタが成功していることで納得できる。80年のクーデタでは期限付きでアメリカも支持、新憲法を制定し、83年にはきちんと民政移管した。
今回のクーデタの背景には、イスラーム主義へ傾斜するエルドラン大統領と、過去の歴史から国民の意思を反映した世俗主義を代表する軍部の対立がある。

しかし、軍部上層部のメンバーがクーデタの首謀者ではないようなので、今回は、腐敗や治安の悪化が現政権の責任とした正義感溢れる若い将校たちの反乱か、エルドラン大統領に個人的な憎しみや恨みのある人間が軍部の一部を通じて起こさせた反乱か。

いずれにせよ、用意周到だとコメントする者もいるが、トルコ軍が本気でクーデタをすれば成功するはずなので、「不満ならばやればいい」的な面を強く感じる。ISやアサド・シリア軍・クルド過激派との戦いに明け暮れるトルコ軍の隙を突いた感は否めない。
この事件から我々が知り得ることとは何か?

決してトルコだから起きた話ではないということ。再び内戦を開始した南スーダン、北アイルランドやアルザスにもキナ臭い動きがある。
今、世界は「不満の渦」から抜け出せない。

同様に「不満の渦」にあった18世紀末~19世紀半ばの欧米では「革命」が繰り返さ、沢山の人間が死んだ。また、20世紀前半は突如台頭した「民族主義・国家主義」が世界を圧巻し、未曾有の死者を出した世界大戦を引き起こした。
今ある世界の不安に有効な対策などはない。ただ、歴史を学べば、必ずそこに渦を変えるキーが隠れていると私は思っている。


 

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Vol.12  ~恐怖との戦い “IS戦略の変化”~

Vol.12

【参考サイト】http://agora-web.jp/archives/2020144.html

 

個人的に馴染みのあるイスタンブル・アタテュルク国際空港で、2週間前、空港テロとしては過去最大のモノが起きた。そのため、今年の夏トルコtourは催行中止にせざるをえなくなった。それの処理に追われている矢先に、バングラデシュ・ダッカ、3年前の夏に訪れた時に宿泊した「最も安全な地区」でテロが起きてしまった。

テロの多様化?
これは、IS広報部の戦略なのかもしれないと私は思っている。

戦場となっているイラク・シリア以外の海外にIS分子を拡散させたいIS広報部。版図縮小とともに、世界のムスリムからも、その残忍なテロに対する反発が増えつつあり、ISに共感するテロ部隊を作り出すことも難しくなってきている。

そこで、「テロの目的」を明確にし、同じムスリムからの共感を得やすくしようとしていることが、今回のテロの詳細を知るに分かる。

「外国人」× と「自国民」○
※対ISでの国際貢献がある

→「異教徒」× と「ムスリム」○
※コーランの最初の6章節を読める

公的な場でのテロは、当然ムスリムも被害者になってしまうが、より外国人の多い国際空港・高級レストラン・有名観光地・クラブを狙えば、狙いがムスリムではないことを伝えることができる。

ダッカ・イスタンブルでのテロも見ても、留学経験のある人間が共感を受けやすくなっていることが分かることから、今後は、留学生の集まる場所や大学などもターゲットになりやすいという認識は必要だろう。
しかし、これがまさしく「テロ」なのだ。元来「テロ」は恐怖心を煽ることで相手の心を支配下に治める「テロル」というフランス語から来たもの。フランス革命中のロベスピエールの恐怖政治が原点なのだ。

だから、恐怖と戦わない限り、勝ち目はない。つまり、不戦勝など存在しない。国際貢献を控える、海外渡航を止める、テロ批判を弱めるなどは、完全なる敗北であろう。

間違えなく、いつかは日本でもテロが起き、犠牲者が出る。そんな時に政府の対応を非難する・恐怖心を煽るような報道などはやめ、日本人として不屈の精神で一致団結し、戦う意志を国民が持ち得るかどうかで日本がテロの戦場になるかならないかが決まるだろう。

以上のことから考えて、今回のトルコtourの催行中止は私の本意とは大きく外れる。すごく残念な決断であり、情けない行動となってしまった。なので、説得力に欠ける持論になってしまった感はあるがお許し下され。

無論、私のトルコ渡航が取り止めになることは100%ないが・・・苦笑。


 

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10月のピックアップ

2015年ノーベル平和賞に、チュニジアの民主化プロセスに貢献したチュニジアの労働・産業・人権・法律の4つの団体「チュニジアン・ナショナル・ダイアログ・カルテット」が選ばれた。チュニジアは2010年12月からはじまったジャスミン革命で独裁体制から民主化への転換に成功した国であり、2011年以降アラブ各地で起きた民主化運動「アラブの春」の先駆けとなった国でもある。この4つの団体は、チュニジアにおける革命後の各分野の調整役として活躍し、平和的な民主化プロセスを促進させることに力を注いだ。その結果、2014年秋には民主的な大統領選挙を成功させるなど、「アラブの春」において一定の成功を治めたと評価されての受賞となった。
-ゆきおの極め-チュニジアがやれるなら、他のアラブ諸国もできるなんて思ったら大間違い。イタリアに近いこともあり、欧米人との交流も多く、もともとイスラーム諸国の優等生であったチュニジア。だからこそ、他と比べてそれほど酷い独裁を行っているとも思えないベン=アリ大統領を革命によって突き落とせる民衆の力があった。教育水準も高いこの国の国民は、自我もしっかりしており、先進国に近い「政治的なプロセス」「個人の尊厳」などが身に付いている。エジプト・リビア・シリアなど、チュニジアに追随して「アラブの春」を起こした国の国民とは「生きる姿」が大きく違うのだ。「勢い」や「不満爆発」といった感情的な行動が普段の生活から垣間見える彼らにチュニジアを模範にしろというのは酷な話である。勿論、「受賞」は素晴らしいことではあるが、「チュニジアのこの団体を模範にして・・・」「アラブ世界にとっての希望だ・・・」ロイター通信のこの言葉のような、「過度の期待」はやめるべきであろう。要らぬ玩具をまたアラブ世界へプレゼントしたとならないように、冷静な動きを「期待」する。


 

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11月のピックアップ

イタリアのミラノやローマで多くのイスラーム教徒らが、パリで起こった同時多発テロの犠牲者らと連帯を示すための平和集会やデモを行った。パリの犠牲者を悼み1分間の黙祷で始まった集会において、参加者たちはアラーの名の下に繰り返される暴力を非難し、「私たちは敵ではない」など声を上げたとAFP通信は伝えている。「ムスリム」=「テロ」とまでは言わないが、「テロの可能性がある」という印象が植えつけられつつあることは否めない。もともと、「ムスリム」の風習や様相などに違和感を持ち、意味の分からぬ「恐怖心」を勝手に抱く人間は世界にも少なくなく、相手を理解しようとする前に、拒絶してしまう。残念な話だが、自国の文化を中心に学び続けてきた国民であればあるほどその傾向は強く、「国際的」な興味への欠如としか言いようがない。
しかし、イスラーム国のSNSによるプロパガンダに共鳴し、その考え方に陶酔していくヨーロッパ在住のイスラーム教徒が増えつつあることも事実である。社会の歪みが人間の心の歪みを大きくし、反社会的な行動に駆り立てるメカニズムは今に始まったことではない。夢を抱いてヨーロッパ世界に飛び込んできたアラブ系の移民が、想像以上の西欧世界の排他性に夢を打ち砕かれ失望する。元々気の短いアラブ系の人々にとっては反西欧思想に傾斜するのに時間を要さないし、ネットワークの強いアラブ系の人々が地下グループを拡大させることも容易である。 今回の同時多発テロが、外国人のほとんどいないパリ10区・11区で起こったことは注目に値する。彼らの目的がイスラーム国の掲げるヨーロッパ世界への挑戦でなく、そのヨーロッパ社会に溶け込みたくても溶け込みきれなかった挫折感から生まれた憎悪だった可能性は高い。今回のテロにおいて、イスラーム国のプロパガンダはあくまでも引き金の1つだったに過ぎず、テロの根源自体はヨーロッパ移民社会の歴史の中に根付いているのではないかと懸念してやまない。


 

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Vol.10 ~IS(イスラミック・ステーツ)~

Vol.10

【参考サイト】http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/…/06/post-5331.php

「IS(イスラミック・ステーツ)に忠誠を尽くす」を免罪符として使わせてはいけない
イラクの首都バグダードから50㎞ほどしか離れていない町ファルージャはIS(イスラミック・ステーツ)の支配地にある。しかし、2週間ほど前からイラク軍による奪還作戦ですでに500人近くのIS戦闘員が捕獲された。また、ISの首都とされるラマラへの総攻撃も間近となり、イラク軍及びシリアのアサド軍・ロシア連合は、ISの殲滅を秒読み段階に入れている。
そんな矢先に、今回のフロリダ銃乱射事件が起きてしまった。しかし、この悲劇を読み間違えてはいけない。
容疑者の父はマスコミを買い取り、自らの主張をテレビ番組で放映できるくらいの金持ち。容疑者本人が貧困に苦しんでいるわけでもなく、アフガニスタンの移民だからと他人に分かるほど差別された生活をしていたわけでもない。
近年増え続ける若者に多い、ちょっとした辛さ・苦しみ・憎しみを自己解決できず、他への暴力へと変換するしか調整できない脆く歪んだ精神力。さらに、自分のスマフォに流れ出るSNSからは見たくもない気に入らない情報が否が応でも沢山飛び込んできてしまう時代。
社会の矛盾や貧富の差は昔からあった。今に始まったことではない。では、なぜ、社会に対する不満爆発が今なのか?
人間が忍耐力を失いつつあり、その爆発の隠れ蓑に「ISへの忠誠」を使えば、本人としての大義名分がつく。ただのワガママな犯罪にはならないからだ。そのうち、ムスリム以外の人間が爆発的なテロ的犯罪行為を起こす際にも、「ISへの忠誠」を使ってくる可能性もあろう。「私はISのフランチャイズなんです」って。
つまり、今のテロ犯罪の問題は、もう力を失いつつあるISの存在やムスリムの数にあるのではない。歪んだ若者の増加と、便利になった世の中で我慢し耐えることを忘れつつある人間の増加にあるのだ。
若者ではないが、トランプ氏の攻撃的な主張も一種のテロ行為。国民にさらなる恐怖心を煽り、さらなるテロを誘発させる。そして、また恐怖心を持つというレンジ。
我が国日本も、対岸の火事では済まない。歪んだ若者はムスリム以上に増え続けているからだ。


 

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Vol.9 ~ペルー大統領選に思う~

Vol.9

【参考サイト】https://gunosy.com/articles/aZgB6

 

当選確実が出ない!?
開票数99%でも当選確実が出る我が国民の感覚ではあり得ないことが起きている。

組織票は民主主義が産み出した反民主主義的なシステム。ある団体に所属する以上は決められた人や政党に投票するよう指示が出るため、勿論、黙っていれば自由に投票はできるか、その組織に対する良心への呵責により、個人的な政治的意思は敗北するのである。
この組織票の反対が浮動票だ。これが多ければ多いほど当選確実は出ない。浮動票の多さは投票率の高さに比例することが多いとされる。我が国では100人に60人が投票すると投票率は高いと言われる。よく考えてみれば、40%は参政していないわけだ。その大半が20~30代の若者であり、彼らはなんやかんやと理由をつけて投票には行かない。
投票した人間や政治家たちは、「投票しない人間は文句言うな」と言う。そうではなくて、投票に行く環境を作ることはできないのだろうか?
ちなみに、ペルーでは投票を拒否すると行政的なペナルティが課され、繰り返すと重い罪となる。その国に住み、その国のサービスを受けるならば、その国の政治家を選ぶ義務があるはずだ。それは、権利ではなく義務。納税よりも重要な義務。民主主義のための国民の責務であろう。
今回のペルー大統領選の投票率は85%を越える。
昨今政治腐敗の続く我が国では、選挙に甘く、政治家の道理・道徳に厳しい。無論、厳しいことはいいことだが、まずはしっかりと、口先だけの演説やただ当選することにしがみつく政治家を当選させてしまう選挙システムを改善できないだろうか?当選してからでは辞めさせにくいシステムは、元来ある政治家を守るためにあるものだから。
自分の一票はただの一票ではなく、自分が納得してこの国に住むための一票であることを、新たに選挙権を持った18~19歳の学生・社会人も含めて、肝に命じて欲しい。選挙結果が気になる、そんな国家であれば、国民の関心が政治家の堕落を監視できるのである。

 


 

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Vol.7 ~五輪史が如実に示す、日本開催がなくなる理由~

Vol.7

【参考サイト】http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46891?display=b(JBpressより)

「y masuzoe お前もか!」

だから、政治家は好きになれない。
道義的にどうかと言われればアウトではあるものの、パナマ文書でその名が公表された公的な立場にない著名人ならば、合法・投資・節税と言われると、正直責めきれない。

しかし、これが公的立場であり、そのお金が国民の血税となれば話は違う。さらに言えば、往生際が悪すぎるのが政治家の最も嫌いなところだ。その職に就いた当初は熱く、誠実で、日本を変える気合いが伝わってくる。しかし、次第に保身に走り、金に目の色を変えるようになり、the END。

「政治家中毒」は止められない。
さらに、この「都知事保身中毒」事件に怒りを覚えた東京都民に追い討ちをかけ、そして悲嘆させた事件が起こった。

「オリンピック招致合戦中毒」事件。

「やっぱり、電通、お前か(笑)」、この言葉に尽きる。
周知の事実ではあるが、私もこの記事の筆者同様、トルコびいきのイスタンブルオリンピック支援者なので、少々バイアスがかかってのコメントになっている点はお許し下さい。

かなり、長文の記事ですが、すべてが私の論旨と同様なので要約するまでもないので、じっくり読んで欲しいヽ(´ー` )ノ

追記すれば・・・
(夏期の文化史第1講の「オリンピック史」でも概要はお話していますが~)

古代オリンピアの祭典を持ち出すのも微妙ではあるが、1896年から始まる近代オリンピックの提唱者であるクーベルタンが教育者であることを忘れてはいけない。

列強の対立が見え隠れする19世紀末、「武力ではなくスポーツへ」と「つかの間の平和」を提供することが彼の想いにあった。

しかし、1936年、ナチスが国威発楊の道具にオリンピックを利用して以来、オリンピックの捉え方が変わったように思う。

とは言え、60年のローマ、64年の東京、72年のミュンヘンは敗戦国の復興に一役買った。68年のメキシコシティ、88年のソウルはその国や周辺国の経済的・政治的な安定を産み出すのに一役買った。

80年のモスクワと84年のロサンゼルスは冷戦下の国際政治に翻弄され、ボイコットという最悪な結末で多くの選手を泣かせたが、それでも、もともとの目的はそれなりに果たしていた。

しかし、オリンピック以降にデフォルトの危機に立たされたアテネ(2000)、平和どころか多くの揉め事を生み出した北京(2008)、不満だけが残ったロンドン(2012)、治安の悪化や大統領の汚職に染まるリオデジャネイロ(2016)に、裏金慢心の東京(2020)。

民衆の税金は湯水のように使われ、一部の企業が儲かる商業営利が最大の狙いとなったオリンピック誘致。その国の真の発展や周辺国の安定に全く寄与していないのが現実。

リスクや治安の面では時期尚早だったかもしれないイスタンブルが、初のイスラーム圏でのオリンピックを成功させたならば、周辺国や世界情勢に大きなプラスが見込めた可能性もあった。

とは言っても、ここまで来たら引き返せない。とりあえず、「最大に盛り上がらないオリンピック」にしないためにも、当事者たちは、できる限り毒を吐き出し、少しでも健全さを誓って欲しい。それがイヤなら、さっさと辞退して、再度意味のあるオリンピックを企画し、再チャレンジしてもらいたいものである。


 

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