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今から約2100年ほど前のローマ時代にマリウスという軍人がいた。混乱する社会で没落しつつあった中小農民の不満を吸収する形で支持を得ていった。彼はローマ史上初めて、私兵制度を確立した人物で一攫千金を狙う輩を集めて、金品を払い、精鋭の傭兵部隊を作り、領土拡大戦争に勝利、ローマ市民を沸かせた。そんな彼を中心に作られたのが、貴族の牙城となっている元老院に対抗する政治グループのポピュラレス(平民派)である。
マリウスは平民からの人気が高い反面、残虐非道な振る舞いで有名な将軍でもあり、まもなく、政争で破れた。その流れを組むのが、カエサルであり、ローマ帝政を開始したアウグストゥスである。いずれも、その政治形態は大衆迎合主義(ポピュリズム)であり、その政治理念のもと、ローマはその後、約200年間の「パクス=ロマーナ」という平和な時代を迎えた。
おいしい言葉を巧みに織り混ぜ、熱く攻撃的な劇場型の演説で、既存の政権に嫌気がさしている国民の心を掴んでいく政治手法を「ポピュリズム(大衆迎合主義)」という。
歴史上の有名人ならばヒトラーやムッソリーニ、身近なところで言えばトランプ大統領がそれにあたる。
今では、「敵は作るが熱狂的な味方を作り、攻撃的な異端児」「世界を乱す悪役」のイメージが作られている。しかし、それは正しいのか?
どうしても、今生きる我々にとっては、20世紀前半に登場した「ファシズム」のイメージがついてならない。あの特別な歴史背景から生まれたポピュリズムは「民主主義」の弱点から生まれたものだ。
ムッソリーニやヒトラーの登場時代を否定すれば民主主義は実現できない。ナポレオンもリンカンも前者の2人と指して変わらない登場の仕方で、世界史的に言えば、ポピュリズムと言える。
1つの政権が長期化すれば癒着や忖度が増え、国民の不満は蓄積されるのは当然。アメリカでも持って3期12年、イギリスならば10年程度で、これこそが二大政党制の良さと言えた。
人の気持ちは変わる。つまり、時が経ち、意欲的に生きる国民ならば、不満はつのる。そして、変化を求め、熱い演説に酔いしれても不思議ではない。
ポピュリズムは「ナシュナリズム」ではない。今だから「対グローバリズム」になるだけだ。いつしか、「ナシュナリズム」が主体の世界が続けば「グローバリズム」を訴えることがポピュリズムと言われるだろう。
だから、ポピュリズムを悪いとするのは、やはり歴史的に見て誤りと言える。政治家の当選手法なんてものは、強弱あれ、基本ポピュリズムだ。重要なことは、国民に嘘をつかないこと、公約を果たすことなのだ。
ただ、今回のイタリア人が選んだ道はあまりにも自分勝手かもしれない。デフォルトの危機になった数年前、助けてもらったEUにナイフを突き付ける可能性が高くなるからだ。
やはり、「礼」や「仁」というのは大切にした方がいいなあと思うのは日本人だからだろうか(^_^;)))….
追伸☆今、ポピュリズムと呼ばれる政治家たちはなぜかカッコいいヤツが多い。トランプは除いて(笑)?
by 世界史講師 佐藤幸夫
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