vol.24 ~ISIL(ダーイシュ)の終わりは、中東不安定の第2章の始まり~

参考URL https://www.cnn.co.jp/world/35108949.html

孫文が作った中華民国はもがき苦しんでいた。反共姿勢を変えない国民党の蒋介石は内戦を加速させ、日本の侵攻を容易にしました。しかし、36年の西安事件で、彼は反日への転換を約束、ここに中華民国は共通の敵を日本であると確認、第二次国共合作が成立したのです。国民党にはアメリカが、共産党にはソ連が支援し、8年間の対日共闘の末、日本の壊滅に成功しました。

 しかし、中国国民の悲劇はこれからでした。共通の敵を失った彼らは、これからの主導権を争い、米ソ冷戦の代理戦争ともされる第3次国共内戦(1946~49年)を開始するのです。この内戦では双方合わせて10万人以上が亡くなりました。日中戦争の3倍以上。49年毛沢東があの天安門で中華人民共和国の建国を宣言するまで、同じ民族を分断した2つのイデオロギーは殺人マシーンと化してしまったわけです。しかし、自陣営の拡大を目論み、双方に武器を援助し続けた米ソの罪を問う声は虚しくも掻き消されれてしまいました。
「ダーイシュ」が14年にイラク北部のモスルで建国宣言をしたその年の国際情勢講演会で、17年末までは持たないでしょう、とお話しました。その通りになったことは少し気持ち悪いですが…?

7月に「ダーイシュ」のイラクの拠点モスルがイラク政府軍により陥落、そして、昨日シリアの拠点ラッカがシリア政府軍により陥落しました。

勿論、世界の人々は安心したわけではありません。それは「テロの拡散」という憂いがあるから。ISILの残党が…ネットによる共鳴…など。それは自分たちが被害者になる可能性への憂い。
しかし、これからの「憂い」はそこではないのです。イラクではクルド人とイラク政府軍との小競り合いが始まり、シリアではトルコ・アメリカ・ロシアの思惑に動かされたシリア人たちが戦後の主導権争いを激化させるでしょう。そして、更なる難民と貧困を生み、さらに、社会不満へと転嫁され、「新しいテロ」を生み出すというサイクルとなるわけです。

今、世界が恐れなければいけないことは、「悲劇の歴史のサイクル」を世界の指導者たちが学ばないことであり、歴史を紐解かずにただ恐怖のみを煽るマスコミの洗脳です。世界の人々は等しく最低の幸せをもって生きる権利を有しています。被害にあった人を助けることも大切ですが、その前に止める勇気を権力者たちに持ってもらいたいと切に願っています。

by 世界史講師 佐藤幸夫

 

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