vol.34 ~激昂する国民性~

参考URL https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1811/23/news027.html

不思議なことがある。中国史を巡る旅は過去何度もした。八大古都はすべて訪れた。数多くの世界遺産にも行った。自分が若かった90年代の時は、ぼったくろうとするタクシーの運ちゃん、並ばないで切符を買おうとする乗客、ごみを捨て立ち入り禁止のところに入る中国人観光客などと掴み合いのケンカをしたことが何度もあった。しかし、4~5回目くらいから…慣れてきたのか、自分が溶け込み出したのか…イヤな気分を感じることが少なくなった。

それでも、日本を訪れている中国人観光客が食べ物の商品を何度も手に取りにまた戻す、レストランで大声を張り上げて喋りまくる、子供が暴れても泣いても注意しないなどの光景を見ると、正直イラッとすることもあるが、たまたま、それを見てしまった、そこに出くわしてしまった「不運」と思い諦める。あまり酷いときは、知っている数少ない中国語で諌めると意外にも簡単に謝罪してくるのだ。

私の教え子や友人にも中国人はたくさんいるが、すべての人が僕より「マナー」がいい(笑)。反対に言えば、まだ、数回しか訪れたことない、教え子や友人のほとんどいないイタリア人の方が「マナー」が悪いと思う時が多い。

「マナー」というのは、相手をイヤな気分にさせないことがベースにあるのたが、その手段や表現方法は、相手の懐の大きさも含め、国によって、地域によって、家族によって、個人によって違う。ということは、極論、対してみないと分からないということ。自分基準で測れば、違う環境で育った似ていない人間は「マナーがない」になるだろう。

問題となったD&Gの映像を見たが、確かに90年代初めに、こんな雰囲気の中国人がほんの少しだけだがいたようにも思える。しかし、もう25年以上前の話だ。また、香港映画に良く見る場面のようにも思えた。

あの映像に噛みついた中国人も「おふさげ」程度で流しておけばいいのに騒ぎ立てた。そして、さらに激情したイタリア人が暴言を吐いて「完敗」した。私は良く、「アメリカ人と中国人が似ている」と言って、両国の知人にマジ切れされる。もしかしたら、「イタリア人」もこの仲間に入れてあげるべきなのかと悩んでいる・・・(笑)。

政府に批判的なジャーナリストが殺された。しかも領事館内で、さらにはイスラームでは最もタブーとされる遺体の切断まで。イスタンブルのサウジアラビア領事館で起きた出来事が、しかも所謂暗殺処理部隊がイスタンブルに送り込まれた事実があるのにもかかわらず、サウジアラビア王家が全く関わっていないわけはないだろう。

しかし、本記事にもあるように、この事件を強く批判するトルコもアメリカも強い制裁は行えない。最後は「ならず者の仕業」で片付くことになるだろう。

さて、透明性の強い(いささか疑問だが(笑))国に住む我々は、自由と透明性は当たり前に主張できると思っているが、世界の7割以上は、それに当てはまらない。

無論、宗教的に自由がないことは各々の宗教の問題だが、政治的指導者が反対勢力を排除する構造はオリエント~ギリシア・ローマ時代から変わらない。

今回関与が噂されているサルマン皇太子の父で現国王のサルマンも、1932年にサウジアラビアを建国したイブン=サウードの25番目の子として、兄弟の歴代国王と同様に多くの反対勢力を抹殺し国王になった。穏健王政と見られている湾岸諸国やヨルダン王国・モロッコ王国、タイ王国でさえ、王家批判に対する処罰は厳しく、ニュースにならないだけで抹殺された人は数えきれない。

無論、共和制の独裁者に至っては紹介するほどでもないが、ロシアのプーチンをはじめ、北朝鮮も中国もエジプトも勿論、今回強く批判しているトルコのエルドアン大統領でさえ、同様な事件を起こしている。シンガポールやミャンマーでさえ、政府批判はご法度に近い。

つまり、グローバルスタンダードが「人間が理想と思っている世界」にはなっていないということ。ん~もしかすると、「アラブの春」のように理想を求めたがゆえに破壊的な社会になり結局回帰した例をみると、「自由と透明性」が最終的に果てしない個々人の欲望を生み出し、新たな権力を生むアイテムになっている気もする。

「独裁」が良いわけはない。しかし、末端レベルで生活している国民にとってみては「自由と透明性」より「安定や幸福度」の方が重視されるのかもしれない…

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