2015年ノーベル平和賞に、チュニジアの民主化プロセスに貢献したチュニジアの労働・産業・人権・法律の4つの団体「チュニジアン・ナショナル・ダイアログ・カルテット」が選ばれた。チュニジアは2010年12月からはじまったジャスミン革命で独裁体制から民主化への転換に成功した国であり、2011年以降アラブ各地で起きた民主化運動「アラブの春」の先駆けとなった国でもある。この4つの団体は、チュニジアにおける革命後の各分野の調整役として活躍し、平和的な民主化プロセスを促進させることに力を注いだ。その結果、2014年秋には民主的な大統領選挙を成功させるなど、「アラブの春」において一定の成功を治めたと評価されての受賞となった。
-ゆきおの極め-
チュニジアがやれるなら、他のアラブ諸国もできるなんて思ったら大間違い。イタリアに近いこともあり、欧米人との交流も多く、もともとイスラーム諸国の優等生であったチュニジア。だからこそ、他と比べてそれほど酷い独裁を行っているとも思えないベン=アリ大統領を革命によって突き落とせる民衆の力があった。教育水準も高いこの国の国民は、自我もしっかりしており、先進国に近い「政治的なプロセス」「個人の尊厳」などが身に付いている。エジプト・リビア・シリアなど、チュニジアに追随して「アラブの春」を起こした国の国民とは「生きる姿」が大きく違うのだ。「勢い」や「不満爆発」といった感情的な行動が普段の生活から垣間見える彼らにチュニジアを模範にしろというのは酷な話である。勿論、「受賞」は素晴らしいことではあるが、「チュニジアのこの団体を模範にして・・・」「アラブ世界にとっての希望だ・・・」ロイター通信のこの言葉のような、「過度の期待」はやめるべきであろう。要らぬ玩具をまたアラブ世界へプレゼントしたとならないように、冷静な動きを「期待」する。